会議の準備

製造業PMが実践する合意形成の最短ルート【会議の前にやるべきこと】

製造業PMが実践する合意形成の最短ルート【会議の前にやるべきこと】

「会議が長い。なのに何も決まらない。」

製造業に限らず会議の話をしていると、こういう声を本当によく聞く。
ファシリテーションが得意な人ならまだしも、私自身は大の苦手だった。

会議の場で即興で場を収める力がない。
それを痛感して、たどり着いた方法がある。

答えは単純だった。

「会議で合意を取ろうとしない。会議の前に全部やっておく。」

今回は、その具体的な方法を正直に書いていく。失敗談も含めて。

この記事でわかること
 1,「意図的シャンシャン会議」が合理的な理由
 2,個別ヒアリングで聞くべき2つのこと
 3,ヒアリングが逆効果になった失敗談と教訓
 4,この方法が転職・社内提案にも使える理由

「シャンシャン会議」は本当に無駄なのか?

シャンシャン会議、という言葉がある。

形式的に進んで、全員が賛成して終わる会議のことだ。
「議論がない=意味がない」と批判されることも多い。

でも私は、意図的に作ったシャンシャン会議には合理性があると思っている。

理由はシンプルだ。
全員が静かに賛成するのは、議論が不要だからではない。

事前の準備で合意の土台が作られているからだ。
これは形式的な会議ではなく、準備の成果だと思う。

鷹杉の視点

「活発な議論こそ良い会議」という考え方もある。でも取りまとめをする立場で25年やってきた実感として、毎回それをやっていたら消耗する。ファシリテーションが得意ではないなら、会議の前に全部準備する方が圧倒的に楽で、成果も出る。

個別ヒアリングが先、会議は後。

製造業でPMをやっていると、複数の関係者を動かす場面が頻繁にある。

企画・設計・開発・生産技術・製造・営業・品管品証・経営層。

それぞれ立場が違う。都合が違う。利害も違う。

そこで私がやってきたのが、会議の前に現場担当者や関係部署のキーマンと話すことだ。

目的は2つある。

目的① 課題感とボリュームの把握

各関係者がどんな問題を抱えているか、どこに負担を感じているかを事前に知っておく。

会議で初めて知るより、圧倒的に対応が速くなる。

ある量産移行プロジェクトで、製造部門がある工程に強い懸念を持っていることを、ヒアリングで事前に把握した。

会議でいきなりその話が出ていたら、場が止まっていた。
でも事前に知っていたので、製造部門の懸念に対応した提案を用意した状態で会議に臨めた。

ただ、思いや考え・意見はその当事者から発言してもらうことは重要だろう。

目的② 落とし所を見つける

各者のニーズを事前に把握しておくと、会議での着地点が見えやすくなる。

「この人はここまでは譲れる」
「この人の一番の懸念はここだ」
という地図が頭の中にできる。

この地図がないまま会議に臨むと、その場で初めて対立が起きる。

それを即興でまとめようとするから疲弊する。

個別ヒアリングで実際に聞くこと。

では具体的に何を聞くのか。私が意識している流れはこうだ。

① まず、制約なしの理想を聞く

制約の話を先にすると、人は萎縮しがちだ。

「予算がないから」「納期があるから」という話を先にすると、本音が出てこない。

「もし制約が何もなかったら、どうしたいですか?」

この質問を先にすると、相手が本当に大事にしていることが見えてくる。

理想を先に聞くことで、「ここだけは絶対に譲れない」という核心が浮かび上がる。

② どこまでが妥協の範囲かを探る

理想を聞いた後、現実との折り合いをどうつけるかを探る。
オトシドコロだ。

「ここだけは絶対に譲れない点」と「状況次第で動ける点」を整理する。

これが会議での交渉材料になる。

注意点:個人の都合ばかりに乗りすぎない

個人の手間や都合ばかりを主張する話には乗りすぎない。最終的に大事なのは顧客や会社の利益だ。ヒアリングしながら、常に「あるべき姿から逆算すると?」を念頭に置いておくこと。

失敗から学んだこと。「情報収集」と「個別合意取り」は別物だ。

ただ、個別ヒアリングにも落とし穴がある。

私が実際に失敗した話をする。

失敗エピソード

事前に各関係者から話を聞いて、ある程度の方向性を把握して会議に臨んだ。ところが、会議の場でその一人が「でも、前に私はこう言いましたよね」と既成事実として主張し始めた。 個別の場での会話が、会議での発言権として使われてしまったのだ。その結果、他の関係者との間で摩擦が生まれ、合意形成の手間がかえって増えた。

この経験から気をつけるようになったのは、個別ヒアリングはあくまで「情報収集と地図作り」であって、「個別の合意取り」ではないということだ。

「あなたの意見を聞いた」と「あなたの意見に同意した」は、全然違う。

この区別を曖昧にすると、後で混乱する。

ヒアリングの締めくくりは「参考にさせていただきます」くらいにとどめておく。

これが今の私のルールだ。

会議は「全体合意の確認の場」として使う。

個別ヒアリングを終えた後の会議は、全体合意の確認の場として機能させる。

各者の意見は把握済みだ。
落とし所も見えている。
あとは全員の前で問いかけるだけ。

「こういう方向でいきたいと思いますが、いかがでしょうか」

ここで初めて、シャンシャン会議が意味を持つ。

私がファシリテーションが得意なタイプではないからこそ、この方法にたどり着いた面もある。

会議の場で即興でまとめる力がないなら、会議の前に全部準備すればいい。それだけの話だ。

これはPMだけの話じゃない。転職・社内提案にも使える構造だ。

「個別ヒアリング→会議で全体合意」という流れは、製造業PMだけの話ではない。

転職活動でも、社内の提案でも、チームの意思決定でも、同じ構造が使える。

人を動かす場面では必ず、「場の前の準備」が結果を左右する。

自分がファシリテーション上手でなくても、関係者調整が苦手でも、この準備さえできれば会議は動かせる。

製造業PMの現場で叩き込まれた、私の一番の実感だ。

そして、「関係者を動かした経験」「ステークホルダー調整の実績」は、転職市場でも高く評価されるだろう。

あなたの「調整力」、市場でどう評価されるか知っていますか?

関係者調整・合意形成の実績は、転職市場で非常に評価されるスキルだ。

でも自分一人では、その価値を正確に言語化するのは難しい。

製造業・メーカー専門の転職エージェントなら、あなたの経験が市場でどう評価されるかを具体的に教えてくれる。

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筆者紹介

鷹杉 タツヤ

鷹杉 タツヤ

製造業でのキャリアは25年以上。技術派遣の会社から一部上場企業/中小企業で設計・開発・新規事業開発など、開発畑で様々な収穫物を得てきたプロジェクトマネージャー。開発工程の上流から下流まで、さらには企画・マーケティングや営業販売まで、メーカーでのバリューチェーンはほぼ全てを経験している。

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